冷静に、恐れること

明けても暮れてもコロナ、コロナ。世界中が不安の渦にある。外来でお会いする患者さん、「人と極力触れないように来ました」「2か月ぶりに家を出ました」。

居宅や、施設の患者さん、それを見守る介護者、家族。皆が言っている、「コロナが怖い。」「不安でたまらない」。しまいには、「生きていることがつらくなってきた」なんて人まであらわれてきた。

ただ、皆さんに「どうして不安ですか?」とお聞きしても、明確な答えは返ってこないことが多い。「同じ市内に、昨日3人出たから・・・」「近くのスーパーで出たって・・・」

コロナに関する報道について、ずっと違和感を持っていた。発症者の隔離や標準的予防策が大事、まあそうだろう。PCR検査をなかなかやってくれない。その通り、でも偽陽性や偽陰性などの問題を国民全体がしっかり理解してやらないと、無用な混乱を招くことになるし、病院でのクラスター発生など、懸案事項はいくらでもあって、特に近日までの日本の感染者数、死者数は世界的にはかなり良いと私は思っていたので、結果として日本人の全体としての流れはおそらく大きく間違ってはいないのだから、過度に不安にならない方がよいのではないかと考えていた。(迷信みたいに思われるかもしれないが、私は、悪いことを考えすぎると、同様のことを引き寄せてしまう、と信じている)

 ウイルスと少しでも触れ合わないこと(マスク、手洗い)ばかりに話の焦点が向かっていて、体の免疫力にほとんど注意が払われないことにも、違和感がある。そもそもウイルスが重症化するのは(ウイルスの入ってくる量)×(人の体力、免疫力)のかけあわせであることくらい、今までの感染症の歴史を考えなくとも、少し自分で考えればわかることだと思う。

もし、純粋にウイルスの入ってくる量だけで感染や重症度が決まるのであれば、なぜ小児や青年期の人はほとんど重症化しないのか?なぜ高齢者や、もともと既往があったり、喫煙者などの重症化率が高いのか?説明がつかないではないか。

 悶々と私が頭の中で考えていても、世の中はどんどんヒステリックとなっていく。すでにかかられた人への誹謗中傷、外国人や政府、他の人への批判(批判は悪くないけど、それだけに終始するのは不毛だと思う)、医療関係者(とその家族)といった特定の人へのsocial distancing(一部では、医療関係者のことをウイルスを持っているかもしれない「汚い疑いのある人」として、距離を置く人がいる)、家庭内暴力、等々。枚挙にいとまがないほど、人と人とはどんどん物理的距離を置き、精神的にも離れ、疎遠、疎外だらけ。SNSや電話では触れ合うけど、どこか空疎。というか寂しい。ありていにいうと、ギスギスした世の中となってきているように感じてしまう。

私は患者さんやご家族によくこう言う。「かかっている人はだんだん増えているけど、日本で亡くなっている方はかなり少ないですよ。皆頑張っているので、もう少しですよ」

もう少し数字に強そうな人の場合にはこう説明する。「例年の日本でのインフルエンザ関連でお亡くなりになった方は約1万人(しかも今年は暖冬&予防によって例年よりかなり少なかった)、結核で亡くなる方は2000人弱。肺炎でなくなる方の合計は毎年10万人です。いま、日本人の頑張りもあって、コロナで亡くなる方の人数が数百人以内に抑えられてるのはすごく優秀ですよ」

そう申し上げても、釈然としない表情の方が多い。何故か。 

①私の説明が下手・・・もちろんこれは間違いない。話すことは大の苦手、そのことには自信を持っている。でも、それだけではないと思う。②メディア(TV、新聞)の論調があまりに強いため、一種の集団洗脳のような状態となってしまっていて、私のような無名医師の言葉はかき消されてしまう のだ。

こういった風に日本人全体が同じ方向へ向かっていると、「そこまで、恐れに恐れを重ねるべき感染症だろうか」と疑問を抱いている私自身が、非国民ではないかという気にさせられてくる。「高齢者を診ている医師なのに、それほど恐れない、なんて不謹慎だ」などという批判が、自分をさいなんでくる(ような気がしてしまう)。

予防はできうる限りはしています、神に誓って。

湧き出る不安を鎮めようと、コロナに関する論文をいくつか読んでみた。でも、10、20読むくらいでは、やはり疾患の全貌はわからない。相反する結果の論文も当然ある。そもそも全てをしっている人は居ない、皆が不安の中で手探りをしているのだから。SNSで発言をしようにも、必ずと言っていいほど噛みついてくる方々がいる。発言するのもだんだん怖くなってきて、精神的な自粛をしながら~つまりはやや自閉的となりつつ~、毎日をやり過ごしていた。

鬱々としてた時、医学部の先輩にあたる方から、すごいファイルを頂いた。

このファイルの作り手は、古川俊治先生。経歴がすご過ぎてクラクラする。医師であり、弁護士であり、参議院議員をされている。おまけにロースクール(法科大学院)と医学部の外科教授もなさっている。同じ医学部の後輩だという事が恥ずかしくなるくらい、八面六臂の活躍をされている。まさにsuper・・・いや、miracle doctorだ。いつ寝ているの?と疑問になるくらいお忙しい方。今は与党=自民党の「新型コロナウイルス対策医師議員団」の中枢にて頑張っておられる。

 自民党万歳!なんていうつもりはないし、個人的には議員さん、人数多すぎると思っている。つまり、ごめんなさい、政府の方にあまり期待していませんでした。でも、こんなにとびきり優秀な「先生」(医師、弁護士、議員)が、こんなに頑張って世界中の論文から情報をとりまとめてくれている。その情報の裏には、世界中の科学者、医師が(そして病気と闘ってきた患者さんたち、周りの人たち)いる。このことに救われたような気持になった。

 そして・・・一人でウツウツとしていた自分を大いに恥じました

少なくとも私には大いなる希望の光となったので、古川先生の「コロナエビデンスまとめ」を次項から、ご紹介します。(wordで38頁とかなり長いので、分けて載せます。一部恐ろしく難解なので、読めるところだけ読もう)

決してパニックにならず、冷静に恐れよう。いま、自分自身にそう言い聞かせています。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

神奈川県藤沢市で「藤沢在宅クリニック」を開いています。 患者さんのお宅や施設に訪問して診療する、在宅医です。 YouTubeで健康チャンネルを不定期配信しています。 「在宅医が語る!健康チャンネル」 https://www.youtube.com/channel/UC9YxLfSunPnVClEMW04Jeuw ☆著作「在宅医の告白~多死社会のリアル~」(2018.2.26 幻冬舎MC)