コロナレポート[免疫][病態]

(5)免疫

☆☆452人のCOVID-2患者を解析した武漢の研究では、重症例(286)は、非重症例(166)と比較し、リンパ球数が低い、白血球数が多い、白血球/リンパ球比が高い、単球・好酸球・好塩基球の割合が低い、等の所見が顕著だった(全てp<0.001)。最も重篤な症例では、感染性のバイオマーカー(プロカイン,フェリチン、CRP等)と炎症性サイトカイン(TNF, IL-6, IL-8, IL-10等)の顕著に上昇していた(全てp<0.001)。リンパ球分画を解析した44例では、T細胞(CD3+CD19-)とNK細胞(CD3-/CD16+CD56+)数が低下していて、重症例(27)では、非重症例(17)に比較して低下が著しかった。ヘルパーT(Th)細胞(CD3+CD4+)数と抑制性T(Ts)細胞(CD3+CD8+)数の両方が減少していて、特にヘルパーT細胞数は、重症例において非重症例に比較し、顕著に減少していた(p<0.027)。Th/TS比は正常範囲内だった。重症例では、非重症例に比較し、ナイーヴ・ヘルパーT細胞(CD3+CD4+CD45RA+)の割合が有意に上昇しており(p<0.035)、記憶ヘルパーT 細胞(CD3+CD4+CD45RO+)の割合が有意に減少していた(p<0.035)。また、COVID-19の患者では、調節性T細胞(CD3+CD4+CD25+CD127low-)数が低下しており、重症例では非重症例に比較し有意に低下していた(p<0.04)。免疫にかかわる細胞は多種多様にあるのですが、重症の方ではそれらの低下が見られます。ただ、これが原因なのか結果なのか、はたまた両方なのかはわからない。

◎中国のCOVID-19患者56名を対象とした研究では、重症例では、抑制性T細胞(CD3+CD8+)を含むリンパ球、B細部、NK細胞の低下が認められた。調節性T細胞(CD3+CD4+CD25+CD127low-)数は軽症例ではやや上昇していた。IL-2,IL-6,IL-10は重症例で顕著に上昇しており、IL-2とIL-6のレベルを在院期間の経過で見ると、15日-20日を境に上昇から下降に転じていて、治療効果を反映していると考えられた。 [本論文は査読前のpreprintである]

☆222の患者を対象とした武漢の研究では、IgGは最初発症後4日で認められ、4週目でピークとなっていた。重症例の割合は、高IgG患者の方が、低IgGに比べて有意に多かった(51.8%対 32.3%; p=0.008)。

 高NLR 高IgG高NLR
低IgG
低NLR  高IgG高NLR
低IgG
 
重症化率72.3%(34/47)48.5% (16/33)33.3% (12/36)15.6% (5/32)p<0.0001
重症例の 回復率58.8% (20/34)68.8% (11/16)80.0% (4/5)100% (12/12)p=0.0592

(NLR:neutrophil-to-lymphocyte ratio,好中球リンパ球比)さらに、高NLR高IgGの患者と高NLR低IgGの重症患者は、低NLR低IgGの重症患者に比較してIL-2,IL-6,IL-10等の炎症性サイトカインのレベルが高く、CD4+細胞数が減少していた(p<0.05)。死亡例は、高NLR高IgGと高NLR低IgGの患者だけだった。 [本論文は査読前のpreprintである。抗体がウイルスの侵入を促進するADE(Antibody-dependent enhancement)を示唆している。]ここも興味深いですね。日本でも、抗体が測れるようになってきましたが、この論文では抗体が高いことで逆に重症化している可能性が推測されているため、抗体が高い=安全だなんて妄信することはできない、と思います。

25例のCOVIOD-19患者を対象に、ウイルスを排除出来た患者(PCR検査陰性,14人)と、出来なかった患者(PCR検査陽性,11人)を比較した研究では、COVID-19患者では入院時にリンパ球が減少していたが、排除患者は入院時に比較し、CD3+, CD4+, CD8+のT細胞とB細胞数が有意に増加していたが(p<0.05)、非排除患者では有意な変化は認められなかった[1]。[本論文は査読前のpreprintである]

◯SARS-CoV-2感染症の患者では、NK細胞と細胞障害性(CD8+)T細胞の数が顕著に減少し、NK細胞とCD8+T細胞の機能も低下が認められた。治療後の回復期では、NK細胞とCD8+細胞の数は回復し、機能も回復した[2]

☆上海の研究者らは、COVID-19から回復した軽症者175人の退院時血清を用い、SARS-CoV0-2の中和抗体とSタンパクに対する抗体の抗体価を調べた。SARS-CoV0-2に特異的な中和抗体は発症後10~15日で検出され(6人の患者の経時的調査)、以後残存した。中和抗体の抗体価は、Sタンパクに対する抗体(S1, RBD, S2領域を標的とする抗体)の抗体価と相関した。中和抗体の抗体価は個人差が大きく高齢・中年の患者では、若年の患者と比較して、中和抗体もSタンパクに対する抗体も、抗体価が有意に高かった。特記すべきは、約30%の患者(特に40歳未満)で中和抗体の抗体価が低く、10人の患者では検出限界以下であった。退院後2週間を経た時点でも、各患者の抗体価は余り変わらなかった(47人の経過観察時調査)。中和抗体の抗体価は、入院時のCRP値と相関したが、リンパ球値とは逆相関していた。[本論文は査読前のpreprintである。] 血清療法が今後積極的になされた場合の、個々の製剤の品質の安定化などに関わってくるかと思いますが、高齢の方で抗体価が高いのは重症化した故ということもあるのではないでしょうか。

☆中国のSARS-CoV-2陽性患者173人を対象とした研究では、抗体陽転率は、全抗体,IgM,IgGの各々について、93.1%,82.7%,64.7%だった。抗体陰性の12人は、発症後十分な期間を経た検体が無いからと考えられた。全抗体,IgM,IgGの各々の抗体陽性までの期間は、11日,12日,14日だった。最初の1週間の抗体出現率は40%以下だったが、急速に上昇し、15日目には全抗体100%,IgM 94.3%,IgG 79.8%だった。これに対し、RNA検出率は、7日目より前の検体では66.7%(58/87)だったが、15-39日目の検体では、45.5%(25/55)だった。RNAと抗体検出の両方を用いると、発症後1週間以内(p=0.007)を含め、診断率が向上した(p<0.001)。全抗体の高い抗体価は、単独で重篤な臨床経過と相関した(p=0.006)。

☆COVID-19の23人の咽頭拭い液等の唾液検体の解析では、患者検体のウイルス濃度は、患者が症状を自覚し出してから短期間でピークとなり、1週間後から減少していた。高齢者では有意に高いウイルス量であった。発症後14日以降の16人の血清調査では、ウイルス内部核タンパクに対するIgG抗体が94%(15)、IgM抗体が88%(14)に認められ、ウイルス表面Sタンパク受容体結合領域に対するIgG抗体が100%(16)、IgM抗体が94%(15)で認められた。両IgG抗体、IgM抗体ともウイルス中和活性と相関したが、IgGの方が高い相関が認められた。

〇軽症~中等症のCOVID-19で入院した47歳の武漢からの女性では、抗体産生細胞、各種の細胞性免疫担当Tリンパ球、SARS-CoV0-2に結合するIgG抗体とIgM抗体の増加が症状回復前に認められ、症状消失後少なくとも7日間持続した。

◎6人のPCR検査陽性の軽症の母親から生まれた新生児は、アプガースコアも正常(生後1分8-9、生後5分9-10)で、喉の拭い液も血液もPCR陰性だった。全ての新生児の血清からSARS-CoV-2に対する抗体が検出された。IgGとIgMが上昇していた2人の母親から生まれた2人の新生児は、IgGもIgMも上昇していて、1人がIgG 125.5, IgM 39.6AU/mL、1人がIgG 113.91, IgM 16.25 AU/mL(正常は<10AU/mL)だった。3人の新生児は、IgG は上昇していたが (75.49, 73.19, 51.38 AU/mL) 、IgMは正常範囲だった。それらの3人の母親のIgGは上昇していて、2人はIgGも上昇していた。1人の新生児は、IgGもIgMも正常だった。IL-6は全ての新生児で上昇していた。全ての新生児に症状は無かった。     小児や新生児で重い症状が出にくいことは、本当に嬉しいことです。(もしも逆だったら、と考えると・・)

(6)病態

<臨床像:中国>

☆2019年12月2020年1月29日までに中国の552病院に入院した1099人の患者の解析では、平均年齢47歳(IQR:3558歳)、41.9%が女性。患者の5.0%がICUに入り、2.3%が人工呼吸を受け、1.4%が死亡した。最も多い症状は発熱(入院時で43.8%、入院中には88.7%)と咳(67.8%)で、下痢(3.8%)は多くは無かった。平均挿管期間は4日だった。入院時の最も多いCT上の所見はスリガラス状陰影で(56.4%)、中等症までの患者の17.9%(157/877)、重症患者の2.9%(5/173)にCT上の所見が無かったリンパ球減少が患者の83.2%に認められたリンパ球の減少は世界的にみられている所見の一つ

☆中国疾患管理予防センターのCOVID-19の72314例の集計では、62%(44672)が確定例(核酸検査に基づく診断)、22%(16186)が疑診例(症状やウイルス暴露歴のみに基づく診断)、15%(10567)が診断例(症状やウイルス暴露歴、画像におけるCOVID-19肺炎像に基づく診断)、1%(889)が無症状例(核酸検査陽性だが無症状)だった。患者の87%(38680)は30〜79歳、9歳以下(416)は1%、10〜19歳(549)も1%、80%以上(1408)が3%だった。81%(36160)が軽症(肺炎が無いか軽症)だったが、14%(6168)が重症だった。確定例での死亡率は2.3%(1023/44672)で、9歳以下に死亡は無く70〜79歳では8.0%(312/3918)、80歳以上で14.8%(312/3918)だった。危篤例での死亡率は49%(1023/2087)だった。死亡率は基礎疾患の在る患者で高く、心血管系疾患で10.5%、糖尿病で7.3%、慢性呼吸器疾患で6.3%、高血圧で6.0%、がんで5.6%だった[9]。[重症例は、「呼吸困難、頻呼吸≧30/分、SaO2≦93%(室内気)、PaO2/FiO2<300、24〜48時間以内の肺浸潤>50%)で、5%(2087)が危篤(呼吸不全、敗血症、他臓器障害・不全等)」と定義されている。]70000人超と人数が多いため、意義のあるデータだと思います。やはり高齢者と基礎疾患のある方が亡くなられている。

◎武漢大学病院の入院患者138人の後向きケースシリーズ研究では、年齢の中央値56歳(22-92、IQR42-68)で、54%(75)が男性だった。98.6%(136)に発熱、69.6%(96)に疲労感、59.4%(82)に乾性咳を認めた。70.3%(97)にリンパ球減少(中央値800/μl、IQR600-1100)、58%にPT延長(中央値13.0秒、IQR12.3-13.7)、39.3%(55)にLDH上昇(中央値261U/L、IQR182-403)を認め、全症例に胸部CT上で両肺の斑状陰影や肺野のスリガラス状陰影を認めた。89.9%(124)がタミフル(オセルタミヴィル)、44.9%(62)がステロイドの投与を受けていた。26.1%(36)が、ARDS(22)、不整脈(16)、ショック(11)のためICUに入った。初発症状から呼吸困難までの期間(中央値)は中央値で5.0日、入院まで7.0日、ARDSまで8.0日だった。ICU症例(36)は非ICU症例(102)と比較し、有意に、高齢で、基礎疾患があり、呼吸困難が多く、食欲不振だった。ICU症例36例の中で、4例が高流量酸素投与、15例が非侵襲的換気療法、17例が人工呼吸器装着(4例がECMOに移行)だった。生存して退院した患者47人では、入院期間の中央値は10日(IQR7.0-14.0)だった。

◎中国国内の24例の死亡例と、世界37ヵ国165人の回復例の検討から、発症から死亡までの平均期間は17.8日(95%CI:16.9-19.2)、退院までの平均期間は24.7日(22.9-28.1)だった。中国国内の確定診断例と臨床診断例70,117例の検討では、生データの死亡率(観察打ち切りの補正後)は3.67%(95%CI:3.56-3.80)と推計されたが、年齢構成と未確認例で補正した推定死亡率は1.38%(1.23-1.53)で、60歳以上が60歳未満より高く(0.32%対6.4%)、80歳以上では13.4%(11.2-15.9)だった。年齢補正した国外例1334例の死亡率は国内例と同様だった(60歳未満1.4%,60歳以上4.5%)。中国全体での感染者の推定死亡率は0.66%(0.39-1.33)で、年齢ともに高くなった。入院例の推定割合も年齢とともに上がり、80歳以上で18.4%(11.0-37.6)だった。

<臨床像:米国・欧州>

☆ニューヨークでの18歳以上のPCR検査でCOVID-19が確定した最初の393例の患者のケースシリーズ(3月5日から3月27日)では、平均年齢62.6歳、男性60.6%で、35.8%が肥満だった。多い症状は、咳(79.4%)、発熱(77.1%)、呼吸困難(56.5%)、筋肉痛(23.8%)、下痢(23.7%)、悪心・嘔吐(19.1%)だった。90.0%にリンパ球減少、27%に血小板減少、多くに肝酵素上昇と炎症マーカーの上昇を認めた。130人(33.1%)が挿管され、そのうち、43人(33.1%)しか抜管されていない。40人(10.2%)が死亡し、260人(66.2%)が退院した。人工呼吸を受けている患者は、男性、肥満、肝酵素・炎症マーカーの上昇(フェリチン、Dダイマー、CRP、プロカルシトニン)がより多く認められ、また、循環器作動薬投与(94.5%対1.5%)、心房性不整脈(17.7%対1.9%)を含む合併症、新たな腎置換療法(13.3%対0.4%)が多かった。中国の報告と比較して、消化器症状がより多く、人工呼吸を受ける割合が10倍高かった。[論文では、中国との人工呼吸器装着率の違いについて、肥満が多いこと、この病院の早期挿管の方針、米国の入院医療が比較的重い症例だけに限られる制度、等を挙げている。]周知の通り、米国は世界で最も医療コストが高く、容易に入院治療ができない国です。医療制度という背景は考慮に入れる必要がある。

☆ニューヨークで、3月1日から4月4日までに入院したSARS-CoV-2陽性の5700人のケースシリーズ(年齢の中央値63歳(0-107,IQR:52-7、女性37.9%)では、最も多い併存症は高血圧56.6%(3026)、肥満41.7%(1737)、糖尿病33.8%(1808)だった。トリアージの時点で、30.7%に発熱、17.3%に頻呼吸(≧24/分)を認め、27.8%が酸素吸入を受けた。呼吸器系のウイルス感染の合併が2.1%に認められた。観察期間終了までに退院、または死亡した2634人の検討では、14.2%(373)(年齢の中央値68歳、IQR:56-78、女性33.5%)がICUで治療を受け、12.2%(320)が人工呼吸を受け、3.2%(81)が腎機能代替療法を受け、21%(553)が死亡した。人工呼吸を要した患者の死亡率は88.1%だった。退院後の経過観察期間の中央値は4.4日(IQR:2.2-9.3)だった。2.2%(45)が観察期間中に再入院した。再入院までの期間の中央値は3日(IQR:1.0-4.5)だった。感染症診療の難しいところの一つとして、複合感染の問題があり、そもそも菌もウイルスもその場で顕微鏡で見られるレベルのものではないので、「Aウイルス感染症」と考えていたら実はB菌もCウイルスも併発、そもそも検体の取れないところに炎症が存在ということもあります。風邪は万病のもと、という言葉は、とても深いといつも感じています。

☆1月20日から3月16日までにロンバルディア地域(イタリア)のICUに入院した1591人の患者では、平均年齢63歳(IQR:56~70歳)、82%(1304人)が男性だった。68%(709/1043)が少なくとも1つの合併症を持ち、49%(509)に高血圧があった。99%(1287/1300)が呼吸補助を受け、88%(1150)に人工呼吸器が装着された。3月25日の時点で58%(920/1591)が未だICUに入っており、16%(256)がICUから退室し、26%(405)が死亡した。64歳以上(786)の患者の死亡率(36%)は、63以下(795)の患者の死亡率(21%)より有意に高かった。男性の方、高血圧の方は注意。

<循環器障害>

☆ニューヨークにおけるCOVID-19の患者18人(年齢の中央値63歳、男性83%)にST上昇が認められ(初診時10人(56%)、入院中8人)、6人(33%)に、その際の胸痛が認められた。部分的なST上昇の14人(78%)のうち、5人(36%)は正常な左室駆出率で、そのうちの1人に部分的な壁運動異常が認められ、また、駆出率が低下していた8人(57%)のうち、5人(62%)に部分的な壁運動異常が認められた(1人は心エコー未検査)。びまん性のST上昇が認められた4人(全体の22%)のうち、3人(75%)は正常な左室駆出率と壁運動であったが、1人は駆出率10%で、全体的な壁運動の低下が認められた。9人(50%)が冠動脈造影を行い、6人(67%)に閉塞性疾患が認められ、5人(56%)に経皮的冠動脈療法が行われた。心筋梗塞と診断された8人(44%)は、他の10人の冠動脈性心筋障害の無い患者に比べて、トロポニンとDダイマーの値の中央値が高かった。13人(72%)が在院死した(4人の心筋梗塞患者と9人の冠動脈性心障害の無い患者)。[ST上昇を認めるCOVID-19の患者では、非閉塞性の心疾患の割合が高く、その予後は悪い。閉塞性疾患の患者も多い。特に、18人全員にDダイマーの上昇が認められた。(一般的には、ST上昇を伴う心筋梗塞の患者では、64%がDダイマー正常だったと報告されている。)その他にも、COVID-19患者の心筋梗塞が報告されている。]

☆武漢のCOVID-19の416人の患者のうち、82人(19.7%)が心臓に障害があった。

 心臓障害がある患者心臓障害が無い患者 
年齢(中央値)[範囲]74[34-95]60[21-90]p<0.01
併存疾患(高血圧) (中央値)[IQR]59.8%(49/82)23.4%(78/334)p<0.01
白血球(中央値μL)[IQR]9400[6900-13800]5500[4200-7400]p<0.01
CRP(中央値mg/dL)[IQR]10.2[6.4-17.0]3.7[1.0-7.3]p<0.01
プロカルシトニン(中央値ng/dL[IQR]0.27[0.10-1.22]0.06[0.03-0.10])p<0.01
CPKの心筋分画(中央値ng/dL[IQR])3.2[1.8-6.2]0.9[0.6-1.3]p<0.01
心筋ヘモグロビン中央値μg/dL[IQR])128[68-305]39[27-65]p<0.01
高感度トロポニンⅠ(中央値μg/dL[IQR])0.19[0.08-1.12]<0.006[<0.006-0.009]p<0.01
NT-proBNP(中央値pg/dL[IQR])1689[698-3327]139[51-335]p<0.01
AST(中央値U/L[IQR])40[27-60]29[21-40]p<0.01
クレアチニン(中央値mg/dL[IQR])1.15[0.72-1.92]0.64[0.54-0.78]p<0.01
画像上の多発性斑状陰影とスリガラス状陰性64.6%(53/82)4.5%(15/334)p<0.01
非侵襲的換気療法46.3%(38/82)3.9%(13/334)p<0.01
人工呼吸器装着率22.0%(18/82)4.2%(14/334)p<0.01
ARDS58.5%(48/82)14.7% (49/334)p<0.01
急性腎障害8.5%(7/82)0.3%(1/334)p<0.01
電解質異常15.9%(13/82)5.1%(17/334)p=0.03
低タンパク血症13.4%(11/82)4.8%(16/334)p=0.01
血液凝固障害7.3(6/82)1.8%(6/334)p=0.02

心臓障害のある患者の、無い患者と比較した発症からの死亡リスクは4.26倍[95%CI 1.92-9.49])で、入院からの死亡リスクは3.41倍[95%CI 1.62-7.16])だった。

☆武漢のCOVID-19の患者187人の35.7%(66)の患者に心血管系疾患(CVD)(高血圧,冠動脈疾患,心筋症など)があり、27.8%(52)にトロポニンT値(TnT)の上昇で示される心筋障害があった。

在院死亡率

CVD無し、正常TnTCVD有り、正常TnTCVD無し、TnT上昇CVD有り、TnT上昇
7.62%(8/105)13.33%(4/30)37.50%(6/16)69.44%(25/36)

CVDの有る患者では、無い患者に比較し、TnT値上昇の割合が多かった(54.5%(36/66)対13.2%(16/121))。TnT値は、高感度CRP値(β=0.530,P<0.01)及びNT- proBNP値(β=0.613,P<0.01)と有意な高い正相関を認めた。入院中に、TnT値が上昇していた患者では、TnT値正常の患者と比較し、より悪性不整脈の頻度が高く、グルココルチコイドの使用頻度(71.2%(37/52)対51.1%(69/135))、人工呼吸器装着率(59.6%(31/52)対10.4%(14/135))が有意に高かった。アンギオテンシン変換酵素阻害剤の使用患者と不使用患者の死亡率は、36.8%(7/19)対25.6%(43/168)だった。

○原因としてCOVID-19感染が疑われる心筋炎の報告もある。[論文では、心筋梗塞類似の症状があり、ECG上のびまん性の陰性T波等の大きな変化がある場合、心筋炎の可能性を念頭に、トロポニンを測定すべきだと指摘している。]

SARS-CoV-2の血管内皮細胞への感染と内皮細胞に対する炎症所見も確認されている。[論文は、COVID-19患者における諸臓器における血管内皮炎と、それに基づく微小循環系障害の可能性を指摘している。]

<アルドステロン-レニン・アンギオテンシン系阻害剤との関係>[ACE2は、アンギオテンシンⅡをアンギオテンシンに変換してレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系を抑制する酵素である。降圧剤として広く用いられているACE阻害剤等のレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系抑制剤は、ACE2の発現を亢進させ、COVID-19の感染を助長するのではないかとの懸念が示されたが、高血圧患者へのACE阻害剤の使用には肯定的な見解が多い。当初は降圧剤を飲んでいる人は危ないのではないか、という推測が世界的に言われていました。

☆武漢の病院の1178人のCOVID-19の患者(年齢の中央値55.5歳(IQR 38-67)、男性46.3% (545))の全体の院内死亡率は、11.0%であった。高血圧の患者は30.7%(362)(年齢の中央値66.0歳(IQR 59-73)、男性52.2% (189))で、31.8%(115)がACE阻害剤またはアンギオシン受容体阻害薬(ARBs)を服用しており、院内死亡率は21.3%だった。ACE阻害剤やARBsを服用している患者の割合は、重症感染症と非重症の間で(32.9%対30.7%;  P=.645)、死亡者と生還者の間で(27.3%対33.0%; P=.34)、差は認められなかった。ACE阻害剤と及びARBsを服用している患者を解析した場合にも、結果は変わらなかった。

☆118人のACEI/ARB使用者 (年齢の中央値 64 歳[IQR 55-68;男性53.2%)と940人の不使用者(年齢の中央値 64歳 [IQR 57-69]; 男性53.5%)を含む高血圧と診断された1128人のCOVID-19患者を対象とした湖北州の病院での多施設後向き研究では、補正前死亡率はACEI/ARB使用群が非使用群より有意に低かった(3.7%対9.8%,p=0.01)。年齢、性、合併症、入院中の治療内容等で補正した総原因死亡率は、ACEI/ARB使用群で有意に低かった(補正後ハザード比0.42[95%信頼区間 0.19-0.92];p=0.03)。サブグループ解析では、他の降圧剤に比較して、ACEI/ARBは低い死亡率と有意に相関していた(補正後ハザード比0.30[95%信頼区間 0.12-0.70];p=0.01)。高血圧(動脈硬化の状態)自体は、他の論文で言われているように悪化しやすいが、降圧剤の中で、特にACEI,ARBという種類のものが危険、ということはいえないようです。

<神経学的合併症>

◎SARS-CoV-2のPCR検査陽性のARDS患者58人の中で、69%(40)に興奮が認められ(神経筋弛緩薬が中断した時)、そのうちの65%(26)に混乱が認められた。腱反射亢進、足首のクローヌス、両側のバビンスキー反射などの広範な皮質脊髄系兆候が67%(39)に認められた。観察終了時に退院していた45人の患者の中で、33%(15)に不注意、見当識障害、協調運動障害などの遂行機能障害が認められた。MRIを行った13人の患者では、8人にクモ膜下腔の拡大が認められ、灌流画像を実施した11人全例で前頭側頭部の灌流低下が認められた。2人の無症状患者が急性脳梗塞像を、1人に以前からと考えられる亜急性の脳梗塞像を認めた。脳波の検査を行った8人の患者には非特異的な変化しか無かった。7人の患者から採取した脳脊髄液に細胞は認められず、2人の患者で血清と同様の電気泳動上のパターンを示す数個のバンドが認められ、1人の患者でタンパクとIgGの上昇が認められた。7人全員で、脳脊髄液のPCR検査は陰性だった。脳梗塞の危険があるということも近日言われ始めていますが、どうやら心筋梗塞を起こしやすいという他の論文も加味すると、そもそも大動脈から心臓をとりまく冠動脈、脳血管はすべて繋がっているわけですから、全く不思議はないこと。

☆武漢の研究では、214例のCOVID-19患者のうち、呼吸状態によると126人(58.9%)は非重症例で、88例(41.1%)は重症例だった。全体で78例(36.4%)に神経学的症候があった。非重症例に比して、重症例は、より高齢で、併存基礎疾患がより多く(特に高血圧)、熱や咳などCOVID-19に特徴的な症状が少なかった。重症例では、急性脳血管障害(5[5.7%])対1[0.8%])、意識障害(13[14.8%]対3[2.4%]))、骨格筋障害(17[19.3%]対6[4.8%])がより多かった。

◎イタリア北部の3つの病院での、1月28日から3月21日までに診療したSARS-CoV-2陽性のギラン・バレ症候群患者5例(1例はPCR検査で陰性だったが、抗体検査で陽性)の研究では、4例のギラン・バレ症候群の最初の症状は下肢の筋力低下と知覚障害で、1は顔面の麻痺と、それに続く運動障害と知覚障害だった。弛緩性の四肢の不全麻痺・四肢麻痺が発症後36時間から4日の間に進み、3例で人工呼吸が行われた。COVID-19の症状が最初に出てからギラン・バレ症候群の症状が最初に出るまでの期間は5-10日だった。脳脊髄液のタンパク質レベルは2例で正常で、全例で白血球は5/ml以下だった。抗ガングリオシド抗体は検査した3例全例で陰性だった。全例でPCR検査は陰性だった。電気生理学的検査では、複合筋活動電位は弱いが、確認出来た。2例では遠位運動神経の反応時間が遅延していた。筋電図では、3例で最初は細動電位が認められたが、1例では最初は認められず、12日目に認められた。所見は、3例ではギラン・バレの軸索変異型に、2例は脱ミエリン過程と整合的だった。MRIでは、2例で尾神経の神経根の増強、1例で顔面神経の増強を認め、2例では信号変化は無かった。全例免疫グロブリン静脈療法(IVIG)を行い、2例では2回目のIVIGを行い、1例では血漿交換療法を行った。治療後4週間で、2例はICUで人工呼吸を受けており、2例は弛緩性対麻痺で理学療法を受けていて上肢の僅かな運動ができ、1例は退院して単独歩行が可能になった。[画像所見が呼吸不全の重篤さに相応しくない場合、COVID-19を伴うギラン・バレ症候群は、より遅れて発症する傾向のある他の重篤な神経障害や筋疾患と鑑別されるべきである。]

<妊婦>

☆武漢でのCOVD-19と診断された118人の妊婦(年齢の中央値31歳(IQR28-34)、52%(55/106)が未経産婦、84%(75/118)が妊娠第3期の感染)では、75%(84/112)に発熱、73%に咳(82/112)、79%(88/111)に胸部CT上両肺の浸潤影が認められた。92%(109/118)が軽症で、9例が重症で、その中の1人が非侵襲的換気療法を受けていた。重症例9例のうち6例は分娩後に重症となった。観察期間中に94%(109/116)が退院し、死亡は無かった。3例の流産、2例の子宮外妊娠、4例の人工中絶(COVID-19を理由とする患者の希望)があった。観察期間中に分娩した68例(2例の双子)のうち、93%(63/68)は帝王切開で、61%(38/62)はCOVID-19の分娩への影響に関する懸念に基づいて行われた。21%(14)は未熟児で、8例は人工的だった(7例はCOVID-19への懸念に基づく)。胎児仮死は無かった。8例の新生児の喉の検体と3人の母親の母乳検体は、いずれもSARS-CoV-2陰性だった。[84人(71%)はPCR検査、34例(29%)は胸部CT上所見に基づく診断]妊娠、出産という体にとってとても強いストレス下にある妊婦さんは、年齢の割には危険である可能性がある。

◎COVID-19と診断された武漢の9人の妊婦の研究では、全て帝王切開が行われていた。7人に発熱があり、その他咳(4人)、筋肉痛(3人)、喉の痛み(2例)、違和感(2名)等の症状があった。2人で胎児切迫仮死がモニタリングされた。5人にリンパ球減少(<1000/μl)、3人に肝酵素の上昇を認めた。重症化例は無かった。9人の新生児に胎児仮死は無く、1分後のアプガースコアは8-9、5分後は9-10だった。6人で羊水,臍帯血,新生児の喉頭拭い液、母乳の検体が採取され、SARS-CoV-2のPCR検査は全て陰性だった。

◎武漢における33人のCOVID-19陽性の妊婦の研究では、3人の新生児の喉や肛門からの検体でSARS-CoV-2が陽性だった。3人はCT上肺炎の所見があり、白血球増多・リンパ球減少、発熱や咳などの症状が認められたが、全例回復している。担当スタッフたちの頑張りかもしれませんが、新生児に何もなかったことは本当に喜ばしい。

<小児>

☆1月28日から2月26日までに武漢小児病院で、SARS-CoV0-2陽性と判定された171人の16歳未満の小児(平均年齢6.7歳)では、41.5%に発熱が認められた他、咳や咽頭の発赤も多かった。15.8%(27/171)が無症状で画像上の肺炎像も認められなかった。12例では画像上の肺炎像があるのに症状が無かった。入院中に3人の患者がICU管理を要し人工呼吸器が装着されたが、全て合併症があった(水頭症、白血病、腸重積)。リンパ球減少は6人(3.5%)に認められ、画像上のスリガラス状陰影は32.7%に認められた。3月8日までに腸重積の10ヶ月の患児が死亡し、21人は安定した状態で一般病棟に入院していて、149人が退院した。大人と比較し、子供は症状が軽く、無症状の場合も少なくない

☆1月16日から2月8日まで中国疾病管理予防センターに報告された小児のCOVID-19患者は確定例728例(34.1%)、疑診例1407例(65.9%)だった。年齢の中央値は7歳(IQR 2-13歳)で、56.6%(1208)が少年だった。患者の90%以上が無症状、軽症、中等症だった。発症から診断までの期間の中央値は2日(0-42日)だった。

◎中国で12月8日から2月6日までにCOVID-19と診断されて入院した全患児の中で、1歳未満の患児は9例(1ヶ月〜11ヶ月)で、女児が7例だった。4例が発熱、2例が軽度の呼吸器症状を示し、1例は無症状で2例の症状に関する情報は無かった。入院から診断までの期間は1〜3日だった。9例全例が少なくとも1人の感染した家族があり、かつ、患児の感染は家族の感染後に起こっていた。9例全例で集中治療、人工呼吸の必要は無く、重篤な合併症も無かった。

〇3週目の新生児(21歳の女性から36週で誕生)のCOVID-19重症化例(改善、退院)も報告されている。

○小児と青年のCOVID-19患者に関する1065人(444が10歳未満、553人が10歳以上19歳以下)を対象18の臨床研究(17が中国、1がシンガポール)のレヴューでは、大部分の小児・青年は、発熱,乾性咳,疲労感などの軽度の呼吸器症状や無症状で、画像上の主たる所見は、気管支の肥厚やスリガラス状陰影で、無症状者についても報告されていた。1例だけ、13ヶ月の乳児の重症例があった。10歳未満の死亡例は報告されていなかった

○パリで3月17日の隔離政策後の1週間に来院した3ヶ月未満の小児14人のうち、5人は鼻腔咽頭拭い液のPCR検査でCOVID-19と診断された。全て男児で、機嫌が悪く熱があったが、呼吸器症状は、初診から退院まで無かった。4人の患児は筋弛緩や傾眠、うめき声などの神経学的徴候があったが、脳脊髄液は全て正常でPCR検査も陰性だった。全患児は解熱剤だけで急速に軽快し、1-3日後には退院した。

○3月前半でマドリッドでの小児患者のスクリーニングでは、365人の患児のうち、41人(11.2%)がSARS-CoV-2陽性だった。41例中25例が入院し、4例が集中治療室に入って鼻カニューレ以上の酸素投与が必要だった。1例だけが既往症があった(再発性の喘鳴)。死亡例は無かった。初診時の診断は、上気道感染症34%(14)、原因不明熱27%(11)、ウイルス性肺炎15%(6)、気管支炎12%(5)、胃腸炎・嘔吐5%(2)、細菌性肺炎5%(2)、喘息2%(1)だった。2人(5%)にB型インフルエンザの合併感染を認めた。

<重症度判定・予後因子>

☆武漢の2つの病院に入院した191人(退院137人、院内死54人)の患者を対象とした後向きコホート研究では、48%(91)に基礎疾患が認められた(高血圧30%(58)、糖尿病19%(36)、冠動脈疾患8%(15))。多因子解析では、院内死が、高齢、SOFAスコア入院時のDダイマー1μg/mL以上と有意に相関していた。ウイルス排出期間は、生存者で中央値20.0日(IQR17.0〜24.0)、最長37日であったが、死亡者では死亡まで続いた。SOFAスコアとは感染症の重症度を測るためのスコアで、世界中のICUで使用されている指標。

◎武漢の入院患者の前向きコホート研究(41例)では、ICU症例(13)は、非ICU症例(28)に比較して、白血球上昇、リンパ球減少、PT延長、Dダイマー上昇アルブミン低下、総ビリルビン上昇、LDH上昇各種サイトカイン(IL2、IL7、IL10、GCFS、IP10、MCPT1A、TNTα)上昇が、有意に認められた。アルブミンの低下についてですが、個人的には①低タンパク(≒低栄養)の状態自体が免疫力悪化⇒コロナの重症化を招いているためと、②重症感染症になればなるほど消耗性にアルブミンが低下する、この二つが主因だと考える。

◎武漢の病院のCOVID-19患者183人の死亡率は11.5%で、死亡者は、生存者に対し、入院時のDダイマーとFDPが有意に高く(p<0.01)、PTとAPTTが有意に長かった(p<0.01;P<0.05)死亡者の71.4%がDICのクライテリアに合致したが、生存者は0.6%だった。DICとは播種性血管内凝固症候群、コロナに限らず重症感染症においてよく起こる、血管の中に血栓ができたり、出血しやすくなったりする病態。心筋梗塞・脳梗塞に波及してしまう方では、この病態が起きている可能性もある。

◎76人のCOVID19患者の入院時の鼻腔・咽頭拭い液の調査では、中等症以上のウイルス濃度が軽症者の約60倍高かった。軽症者21人では早期にウイルスの消失が認めら、90%で発症後10日以内に認められなくなったが、中等症以上の10人では、全例発症後10日を超えてウイルスが認められた。入院時の鼻腔・咽頭拭い液のウイルス濃度が、COVID19の重症度と予後の有用な測定因子となり得る例えば例年冬に行うインフルエンザの迅速検査でも、数分かけてようやくうっすらと陽性のマークが出る方と、数秒でくっきりとマークが出現する方がいる。後者の方ではウイルスの量が多いとみなしている。

18人のSARS-CoV0-2陽性者の鼻腔と喉の拭い液検体では、17人の有症状者では高いウイルス濃度が発症後直ぐに認められ、鼻腔の方が喉よりも高かった。無症者の陽性者のウイルスの濃度も同等であった。[上の報告と相反する。無症状陽性者の感染性を示唆している]

◎国内症例28例の検討では、下痢、リンパ球数1000/μL以下、フェリチン430 ng/mL以上、CRP 2.5 mg/dL以上、CT上の浸潤影が重症化のリスク因子として挙げられ、これらのリスク因子の個数は、発症からPCR陰性化までの日数と強い相関を示した。発症当初の重症度から、ある程度どうなるか予測が立つ。

<嗅覚・味覚>

☆☆軽症のPCR検査陽性COVOD-19患者204人(年齢の中央値56歳、女性52.0%)を対象とする調査で、嗅覚・味覚の変化は64.4%(130/202)の患者で認められ、SNOT-22のスコアの中央値は4(IQR 3-5)で23.8%が5だった。130人のうち、34.6%(45)が鼻閉感を訴え、疲労(68.3%)、乾性・湿性咳(60.4%)、発熱(55.5%)の頻度が高かった。全患者に関して、嗅覚・味覚の異常が他症状より先に起こった患者が11.9%(24/202)、他症状と同時が22.8%(46/204)、他症状の後が26.7%(54/202)だった。嗅覚・味覚が唯一の症状だった患者は3.0%(6/202)だった。嗅覚・味覚障害は、女性において、男性よりも有意に多かった(72.4%対55.7%)。[SNOT-22のグレードは、none (0)、very mild (1)、mild or slight (2)、moderate (3)、severe (4)、as bad as it can (5)]嗅覚・味覚の変化は6割程度の方であるものの、たいてい他の症状を伴っている。

<眼症状>

◎中国のCOVID19と診断された38人を対象とする研究で、鼻腔咽頭拭い液のPCR検査で陽性だった28名(73.7%)のうち、2人(5.2%)は、結膜の検体でもPCR検査陽性だった。38人のうち12人(31.6%[95CI:17.5-48.7])に、結膜充血,結膜浮腫,流涙症,分泌物増加など、結膜炎と整合的な眼徴候があった。単変量解析では、眼症状の有る患者は、無い患者と比較して、白血球数と好中球数が多く、プロカルシトニン,CRP,LDHの値が高い傾向があった。眼症状のあった12人のうち、11人(91.7%[95%:61.5-99.8])はPCR検査で鼻腔咽頭拭い液が陽性で、その中の2人は、結膜検体も陽性だった。よく言われるように目からウイルスが入る可能性はある。

<CT画像>

☆武漢の81人の患者のCTスキャン画像(第1群:発送前のCT、第2群:発症後1週間以内のCT,第3群:発症後1週間から2週間のCT、第4群:発症後2週間から3週間のCT)の後ろ向き観察研究では、主要な異常パターンは、両葉79%(64/81)、末梢54%(44/81)、不明瞭81%(66/81)、スリガラス様陰影65%(53/81)で、右下葉が27%(225/849区画)で多かった。第1群(15人)では、主要なパターンは、片葉(9,60%)、多発性(8,53%)スリガラス様陰影(14,93%)だった。第2群(21人)では、病変部位は速やかに拡大し、両葉(19,90%)、びまん性(11,52%)、多くのスリガラス様陰影(17、81%)となった。その後、スリガラス様陰影の割合は減少し(第3群(30人)の57%(17)、第4群(15人)の33%(5))、浸潤影と混合パターンが増えた(第3群の40%(12)、第4群の53%(8))。

<その他>

◎1月4日から2月24日までに武漢外の中国で確認され、ウイルス暴露と発症が同定可能な181の検討で、COVID-19の潜伏期の中央値は5.1日と推定され、症状を呈する97.5%は、11.5日以内に発症していた。このことからも保守的に見積もっても、10,000例の中で101例は、14日間の積極的モニタリングや隔離の後に発症すると推計された。2週間経過観察期間を置いても、100%大丈夫、ではない。

◎呼吸器症状のある1206人の1217検体についてSARS-CoV-2と他の病原体を調べたところ、9.5%(116/1217)がSARS-CoV-2陽性で、26.1%(318/1217)が他の病原体陽性だった。SARS-CoV-2陽性だった検体の20.7%(24/116)に、陰性だった検体の26.7%(294/1101)に、他の病原体が認められた。病原体としてはリノウイルス/エンテロウイルス(6.9%),RSウイルス(5.2%),他のコロナウイルス(4.3%)などが多く、SARS-CoV-2陽性検体と陰性検体とで、差は認められなかった。ウイルスは、それぞれを疑って検査をしないと検出されず、しばしば併発するため複雑。検査の限界性がある。

      (続く)

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神奈川県藤沢市で「藤沢在宅クリニック」を開いています。 患者さんのお宅や施設に訪問して診療する、在宅医です。 YouTubeで健康チャンネルを不定期配信しています。 「在宅医が語る!健康チャンネル」 https://www.youtube.com/channel/UC9YxLfSunPnVClEMW04Jeuw ☆著作「在宅医の告白~多死社会のリアル~」(2018.2.26 幻冬舎MC)