古川俊治先生のコロナレポート[予防・検査等]

初めに、引用者からの注・・・論文の出典は、あまりに多いためここでは割愛させていただきました。また、誠に勝手ながら私自身の考えをで書き込ませていただきました。古川先生の強調されているところはです)

☆Significant Scientific Evidences about COVID-19

[2020年4月29日版]

[ ]内は作成者の私的なコメントです。なお、特に記憶しておくべきと考えた所見を順にで色を付けてあります。

[1]臨床的・疫学的意義において重要な情報

Evidenceの格付けは、研究デザインや研究規模に基づくEvidenceとしての科学的信頼性、知見の重要性・新規性等を総合的に勘案し、作成者の主観により決定した。

☆☆☆抜きん出て信頼出来る重要な情報

☆☆非常に重要な情報

☆知っておくべき重要な情報

◎観察研究として、とても参考になる情報(主としてケースシリーズ)、又は信頼性の低い比較試験

〇事例として、知っていると参考になる情報(主として観察研究)

(1)予防、検査等

☆☆SARS-CoV-2の感染性は、エアロゾル状態で3時間、プラスティクやステンレスでは72時間までは認められた。[いわゆる「空気感染」を、否定すべきでない。]そう思います、ウイルス量は少ないかもしれないけど、やはり換気はとても大事!

◯SARS-CoV-2を培養すると、感染性ウイルスは4℃での2週間ほぼ安定、22℃での減少は限られていたが、37℃では2日目、56℃では30分、70℃では5分以内に検出出来なくなった。様々な環境でのウイルスの安定性を調べると、紙やティッシュでは3時間、木や布では2日目に感染性ウイルスは認められなくなったが、ガラスや紙幣では4日目(2日目は検出有り)、ステンレスやプラスティックでは7日目(4日目は検出有り)までかかった。マスクの外側では、7日目でも感染性ウイルスが認められた。漂白剤や消毒剤を加えると速やかに消失したが(石鹸は5分では認められ、15分までに消失)、pHの変化(pH 3-10下60分)には安定だった。やはり高温下ではウイルスは生きにくい、マスクの外側は極力触らない方がいい!何日も続けて使うことは、なるべくは避けたい!

☆☆2月から3月に武漢の病院でエアロゾルに関して調査した研究では、エアロゾル中のSARS-CoV-2 RNAの濃度は、隔離棟や換気のある病室ではとても低く患者のトイレのエリアで高かった。多くの公共エリアでの空気のSARS-CoV-2のレベルは検出限界以下であるが、混み合う傾向のある2ヶ所のエリアでは検出され、人混みの中にSARS-CoV-2のキャリアが存在していることを示唆した。初期には、医療スタッフのエリアで、μm以下とμmを超える位大きさにピークのあるエアロゾルに高いウイルスRNA濃度を認めたが、精力的な消毒作業によって検出限界以下となった。これらのエリアでの感染性を確認していないが、エアロゾル感染(空気感染)の可能性があると考えられる。部屋の換気、スペースの開放、防御服の消毒、トイレエリアの適切な使用と感染防止策が、効果的にエアロゾル中のSARS-CoV-2 RNAを抑制すると考えられた。咳,くしゃみなど飛沫の他にエアロゾル、また便中にもウイルスが少量存在する可能性があります

☆布マスクを着用すると、発語時の唾液飛沫を、ほぼ完全に抑制できる。[布マスクでも、Spreaderにならない目的に役立つ。布マスクをしてもエアロゾル排出が起こる可能性は残るが、エアロゾルは換気で速やかに消失する。]マスクの一番の目的は自分から他の人に移さないため。布マスクでも無いよりはかなり良い!

☆国内で、2回連続でPCR検査で陰性を確認され退院した患者が、退院後10日目に熱発を認め、他院を受診し、前病院の退院後14日目にPCR検査陽性が判明した。[患者は、退院後も自宅で療養していた。「再感染」ではなくて、体内に残っていたウイルスの「再活性化」と考えられる。]感染症の治療で、「治りきったことを証明する」のは意外に難しく、実臨床ではこういうこと、ままあります。あとは、ウイルス量が少ない場合、検査で検出できないこともあり得る。PCR検査は万能ではない!

☆PCR検査陽性無症状者90名の観察研究では、2回連続でPCR検査陰性が確認されるまでに要した日数は中央値で9日(3日〜20日)で、90%(81)で陰性化に6日以上を、12%(11)で15日以上を要した。20%(18)で1回陰性を確認した後に再度陽性となる現象がみられた。[PCR検査の感度は限られており、体内のウイルス量が少ない場合、感染していても陽性に出ない例(例えば、PCR検査では陰性に出たがウイルスを排出し感染源になる無症状保因者)が相当数あると考えられる。]今回のコロナが何となく怖い理由ともなっています、「無症状保有者」と、「陰性化するまでの期間が意外に長いこと」。インフルエンザの方が症状出るし、分かりやすい。でも、結核なんてもっと時間かかりますから、まだマシであるとも言えます。

☆1月1日から2月15日までに武漢大学病院で治療を受けた軽症から中等症の医療従事者4人(30-36歳、男性2名・女性2名)は、PCR検査陽性で、CT上の異常所見があった。タミフル投与で、症状は消失し、CT上の異常も1人で僅かなスリガラス陰影の分布がみられるだけとなり、PCR検査は2回連続で陰性となった。発症から回復までの期間は、12-32日だった。退院後、自宅で5日隔離された。5日~13日後に行ったPCR検査は全員陽性だった。その4日~5日後にかけて、追加のPCR検査が3回行われたが、全て陽性だった。異なる製造者のPCR検査キットを用いて追加検査が行われたが、全て陽性だった。患者に症状は無く、CT上も変化が無かった。[ウイルスは消失したものの、ウイルスRNAが残存していた可能性がある。]これもイヤですね、検査陽性だから仕事にも行けず、勿論周りの方とも触れあえず、ずるずると引きづられて気持ちが沈むと思います。

☆205人の患者から採取した1070の検体による検体でのウイルスRNA検出率を検討した研究では、気管支肺胞洗浄液93%(14/15)、喀痰72%(72/104)、鼻腔拭い液63%(5/8)、気管支鏡擦過検体46%(6/13)、咽頭拭い液32%(126/398)、便29%(44/153)、血液1%(3/307)で、尿検体は無かった。20人の患者で2-6の検体が集められたが、6人では1検体(呼吸器、便、血液)でのみ陽性で、7人では呼吸器と、便(5)または血液(2)で陽性だった。2人の患者で、生きたウイルスが便で認められた。

◯感染患者3人の隔離室環境中からのウイルスRNA検出を調査した研究では、部屋の清掃前に検体採取を行った患者の場合のみ、居室のテーブル・椅子・床・窓・流し・ライトのスイッチや、トイレの便器、流し等からウイルスRNAが検出された。空気中からは検出されなかったが、換気扇から検出されており、ウイルスを含んだ空気中の粒子の存在を示している。やはり気道系(口ー鼻ー喉ー気管支)と時々便の中にもいるので、トイレの清掃、そしてやはり換気が大事です。

              (続く)

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神奈川県藤沢市で「藤沢在宅クリニック」を開いています。 患者さんのお宅や施設に訪問して診療する、在宅医です。 YouTubeで健康チャンネルを不定期配信しています。 「在宅医が語る!健康チャンネル」 https://www.youtube.com/channel/UC9YxLfSunPnVClEMW04Jeuw ☆著作「在宅医の告白~多死社会のリアル~」(2018.2.26 幻冬舎MC)