命のかぎりに

「生き物の死にざま」、多種多様の生物の生まれて死ぬまでを書いたエッセイ。

子供向けかと思ったが、読了してみたら子供に読ませるにはもったいないくらいの本だった。(毎回こんなことを書いているのは、いよいよ脳が退化してきていることの顕れかもしれない。)

『ハサミムシの卵を守るのは母親だ。ハサミムシの母親が卵を産むとき、父親はすでに、行方が分からなくなっている。子供が父親の顔を知らないのは自然界ではごく当たり前のことである。』人間でも放浪している父親、よくいる?そしてその次が衝撃的だ。『あろうことか、子供たちは自分の母親の身体を食べ始める。 そして、子供たちに襲われた母親は逃げるそぶりも見せない。むしろ子供たちを慈しむかのように、腹のやわらかい部分を差し出すのだ。』

サケは故郷の川を旅立ってから、再び故郷の川に戻ってくるまで16000kmにもわたる工程を泳ぐのだという。しかしやっとの思いで帰ってきた故郷の川に待ち受けているのは人間が作った堰やダム。巨大なコンクリートの壁を前にして、それでも生まれた地に帰ろうと、むなしいジャンプを繰り返すのだという。

マンボウは膨大な数の卵を産む。卵巣の中に3億個の卵が見つかったこともあるらしい。マンボウは『少なくとも20年以上、恐らくは100年程度の寿命』を持つらしく、しかしほとんどそんなに生きられないので、生存戦略として、膨大な数を産むのだ。なぜ生きられないか。あまりにも無害で、武器も持たず、常に海の捕食者たちに狙われているから。カツオ、マグロ、カジキ、サメに獲物にされる。シャチにもアシカにも。のんきに泳いでいられる時間は、あまりにも短い。

読んでいる間、私が10代の頃にヒットしたMr.children「everybody goes」のワンフレーズが何度もレフレインしました。「必死で生きてる」。命は儚く、全ては一抹の夢のように泡のように消えてゆくけど、それゆえ生き物は、その生を大事にし、懸命に頑張る。そのことを実感しました。(ちなみに歌のひとつ前のフレーズは「皆んな病んでる」でしたが、そのフレーズはリフレインしませんでした)

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神奈川県藤沢市で「藤沢在宅クリニック」を開いています。 患者さんのお宅や施設に訪問して診療する、在宅医です。 YouTubeで健康チャンネルを不定期配信しています。 「在宅医が語る!健康チャンネル」 https://www.youtube.com/channel/UC9YxLfSunPnVClEMW04Jeuw ☆著作「在宅医の告白~多死社会のリアル~」(2018.2.26 幻冬舎MC)