生きることとは~エンデ「はてしない物語」より~

「モモ」があまりに面白かったので、作者ミヒャエル・エンデの代表作「はてしない物語」を続けて読んだ。題名に妙な既視感があり、よくよく考えると・・・むかーし映画でやっていた「ネバー・エンディング・ストーリー」ではないか。変な顔のもふもふした龍に乗っている少年の画像、そして主題歌が何度も頭の中でリフレインした。

突然お母さんを亡くし、同じように(それ以上に)茫然自失しているお父さんと一緒に暮らしている、バスチアンという少年。でぶっちょでX脚、要領も悪いみたい。学校でいじめを受け、逃げた先にたどり着いた古本屋から、不思議な本を盗んでくる。その中のストーリーに引き込まれ、没入している内に、不思議なことが起こり、いつの間にか本の中に入って、冒険をすることになる。ファンタジー、ジュブナイルとしてもすごく秀逸な作品だけど、さすがはエンデ。それ以上にとても教訓的、哲学的な内容を含んでいる。物語の中で、世界「ファンタージエン」は滅びようとしている。「虚無」という恐ろしい敵が世界を覆っていて、あらゆるものに侵食し飲みこもうとしてくる。人間にしかこの世界は救えないのだが、今はこの想像された世界を救ってくれる人は皆無となっていて、バスチアンの助けがないと消滅してしまう危機にある。これは明らかに、物語を無くした(想像力を無くした)現代人への警告の響きをはらんでいる。やっぱり「モモ」の作者だ。

うーん、子どもの頃に読んでいても、わからなかったかもしれない。。。2重3重の意味で素晴らしい童話、いや小説でした。

訳者あとがきにあるエンデの言葉。「私が書くのは遊びだ。無目的の遊び、これが現代に最も欠けているもの。私はこれを取り戻したい」うん、そういう信念をひしひしと感じました。

本って、映画って、本当にいいですね!(ちなみに、映画版、懐かしいかと思って見てみた。こちらはすっかりお子様向けという感じでした。そこまでは私、タイムスリップできなかった。)

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神奈川県藤沢市で「藤沢在宅クリニック」を開いています。 患者さんのお宅や施設に訪問して診療する、在宅医です。 YouTubeで健康チャンネルを不定期配信しています。 「在宅医が語る!健康チャンネル」 https://www.youtube.com/channel/UC9YxLfSunPnVClEMW04Jeuw ☆著作「在宅医の告白~多死社会のリアル~」(2018.2.26 幻冬舎MC)